任意の三角形は二等辺三角形である

初等幾何についての資料を探してたらこんなの見つけた。


定理:すべての三角形は二等辺三角形である。

(証明)△ABCは任意の三角形とする。
∠Aの二等分線と辺BCの垂直二等分線との交点をOとし,Oから辺BC,CA,ABにおろした垂線とその辺との交点をそれぞれP,Q,Rとする。



あとは分割してできたそれぞれの三角形の組の合同を証明すればいいわけですが,


△AOQと△AORについて
AO=AO(共通辺)
∠OAQ=∠OAR(仮定)
∠AQO=∠ARO=∠R(仮定)
△AOQと△AORはともに直角三角形であり,斜辺と1つの鋭角が相等なので△AOQ≡△AOR
ゆえに OQ=OR…ア, AQ=AR…イ


△BOPと△COPについて
OP=OP(共通辺)
BP=CP(仮定)
BPO=∠CPO=∠R(仮定)
二辺夾角相等により△BOP≡△COP
ゆえに OB=OC…ウ


△ROBと△QOCについて
OR=OQ(アより)
OB=OC (ウより)
∠ORB=∠OQC=∠R(仮定)
△ROBと△QOCはともに直角三角形であり,斜辺他の1辺が相等なので△ROB≡△QOC
ゆえに RB=QC…エ



そんで,締めとして

イ,エより AR+RB=AQ+QC
すなわち AB=AC
したがって,△ABCはAB=ACの二等辺三角形である。すなわち,すべての三角形は二等辺三角形である。(Q.E.D.)



まぁそんなわけがないのでこの証明にはどこか欠陥があるわけだけれども,それを見つけるのが重要でかつ難しいわけですね。

前に1=-1の証明で,複素数を使ったやつを友達に試したことがあったんだけど,まぁ簡単にいえばこれはルートの乗法,除法についてはルートの中身が正でなければまとめられない,っていう条件を無視しているところに欠陥があるわけです。これが意外とわからないもんで,その友達は1/i=i/1が成り立たないことには気づいたんですが,「この式が違う!」と言い張るだけで,この式が導かれる過程が誤りであることを考えませんでした。それでよく数学専攻にいれr(ry


他にもユークリッドの『原論』の第1巻の命題1『任意の線分を底辺とする正三角形が作れること』の証明にも,実数の連続性が保障されない限り2円の交点が存在するとは言えないわけで。


まぁということで上の証明の欠陥を指摘してみようかと思います。長くなるのでまた別の記事で。