2018年センター試験 数学II・B を解いてみたその5【第4問】
第 4 問「ベクトル」を解いていきます。今回は平面のみにとどまっていますが,他の問いと同様に確かな計算力が必要です。
実際の問題は下記を参照してください。
大学入試センター試験(2018年度) 問題・解答速報 - 毎日新聞
第 4 問
まずは与えられた条件から図をかいてみましょう。
私は三角形 ABC といわれると上のような形をかきますが,皆さんはどうでしょうか。ちょっとうっかりすると AC が底辺の二等辺三角形ぽくなったりして,一般的な三角形をかくのは意外と難しいです。
今回は,3 つのベクトルの起点が三角形の内部の点 F という例年に比べるとイレギュラーな設定です。が,位置関係に注意をすれば考えることは同じなのでひるまずに進めていきましょう。
(1)
まず を と で表します。△FABに着目すれば,
です。よって
…①
となります。マークは の係数のところのみなので,展開公式がわかっていれば簡単ですね。
ここで求めた は最後の (4) で使うことになります。
(2)
今度は を と で表せという問題です。これも △FAB に着目すれば,FD は頂点 F から対辺の内分点に引いた線なので,比を使って式が作れます。AD:DB=1:3 であるから
…②
となります。
(3)
次は と , と がそれぞれ平行なので, とおいて s と t を求めよう,という問題です。この先の式を見ると, を 2 通りに表して係数を比較するという方針であることがわかります。
と ② より
であるから
…③
これは分母を払って式変形するだけです。
のほうは,まず を と で表す必要があります。これも点 E が辺 BC の分点なので, △FBC に着目して
となるので
…④
です。この ③ と ④ を比べて(本文では省略されていますが, かつ平行でないことの確認が必要です。まぁ省略するほど自明ということですが)
と求められます。複雑そうな式ですが,(1-a) を展開せずに変形すればそれほど面倒ではないです。
(4)
問題の設定が意味ありげですが,とりあえず素直に計算していきたいと思います。
①は (1) で求めた
です。あと も求めます。
であるから
となります。 としたので で,また より
となります。
問題は以上です。
これも最後に内積を求めて,だから何なんだ,というような問題ですが,結果から少し遊んでみようと思います。
たとえば, とすれば, すなわち です。すると BFは二等辺三角形 BEA の垂直二等分線となるわけですが,ちょうど
よくセンター試験の裏ワザなんかだと,こういう特殊な場合をうまく設定して必要条件から数値を導き出す……なんてやり方があったりしますが,今回は点 D が 1:3 の内分点なこともあって対称性のあるような形が浮かびません。何かいい形を考えた人は教えてください。