パップスの中線定理の拡張に関するメモ

三角形がらみのある線分の長さを求める問題は,センター試験などでも頻繁に出題されるもののひとつですが,そこで知っておくとよい定理として,パップスの定理(中線定理)というものがあります。


において,辺の中点をとすると,次の式が成り立つ。


証明法はいくつかありますが,余弦定理によるものは後の拡張のときのためにとっておいて,まずは三平方の定理を用いて証明してみます。


(証明)

頂点から辺上におろした垂線の足をとする(図のように点の右側にあるとしても,一般性を失わない)。
において三平方の定理より

においても同様に


(1), (2)を辺々足して


ところで,




したがって




において三平方の定理より,


ゆえに



ここから本題です。

この定理における点を,中点の場合だけでなく,辺上の任意の分点に拡張すると,以下のようになります。



において,辺上にとなる点をとると,次の式が成り立つ。


(証明)

とすると,
において余弦定理より



また,においても同様に




よって




ここでからであるから,


 ■



さきの中線定理の等式や余弦定理による証明の流れは,この定理においてとしたときの形となります。


最後に,例題でその効果を試してみます。


問.
において,辺に分ける点をとするとき,線分の長さを求めよ。


(解1:位置ベクトル,内積余弦定理を用いて)


よって






(解2:中線定理の拡張定理を用いて)