2018年センター試験 ドイツ語 を解いてみたその3【第3問】

第 3 問は文の整序問題です。日本語訳があるので易しめですが,ひと通りの文法知識が問われます。

問題は下記を参照ください。

大学入試センター試験(2018年度) 問題・解答速報 - 毎日新聞

 

第3問

問1

「前に」が文を 2 つに分けます。「彼女は彼に電話した」が主の文で,「ペーターを訪問する前に」が bevor を用いた副文になります。

彼=ペーター ですが,あくまで日本語の順番として表現されており,そのままドイツ語が対応するわけではないので注意が必要です。ドイツ語では主文が先に来ていますので,「ペーターに電話した」Sie hat Peter angerufen から始まります。続いて bevor から始まる副文ですが,「本動詞を一番最後に置く」という基本事項が問われています。ただの文なら Sie hat ihn besucht. ですが,副文では (bevor) sie ihn besucht hat. となります。よって解答は ⑥,① です。

問2

「~するのは,~だ」という英語でもおなじみの構文です。まず「難しくはない」の部分ですが,英語だと It's not specially hard ~ といったところでしょうか。ドイツ語も語順としてはほぼ同様で,Es ist nicht besonders schwer, となります。否定の nicht が schwer そのものではなく, besonders にかかっているんですね。「難しさについては,顕著ではない」というような感じです。besonders nicht schwer だと,「とりわけたやすいことと言ったら,格別だよ」みたいに,難しくないことを強調するニュアンスになるのでしょうか。

後半は英語とは語順が異なります。英語は to convince Michael と,「to + 動詞の原形」から始まりますが,ドイツ語ではこのパーツは一番最後です。要するに日本語の語順と同じなんですね。 ということで, Michael zu überreden. と続きます。解答は ②,⑤ です。

問3

「もし~なら,~のに」という接続法(英語だと仮定法)の文です。

動詞が接続法第 2 式の形になりますが,ここでは順番を問われているだけなので意味はさほど気にしなくてよいでしょう。ちなみに hätte と würde がそれです。

問 1 と違って,副文が先に来ています。wenn は英語の when にも if にもなるんですね。ここでは if です。Wenn ich genug Zeit hätte, が「もし時間がたっぷりあったなら」の部分です。続く主文ですが,この "wenn ~" 節をまるごと 1 パーツとして考えて,次に来るのは語順の 2 番目,つまり動詞になります。よって「~するだろう」の werden の接続法第 2 式, würde を用いて würde ich lieber mit dem Zug ~ となります。残ったパーツが fliegen と fahren と statt です。 mit dem Zug とあるので,電車で「行く」は fahren という動詞を使います。「飛行機で行く」は mit dem Flugzeug fliegen ですが,人間が飛ぶ交通手段は限られますので,ここでは fliegen だけを用いています。fliegen する代わりに fahren する,ということなので, mit dem Zug fahren, statt zu fliegen. となります。statt は「~の代わりに」という意味の前置詞です。ここでは statt zu で「~する代わりに」の意味で使っています。前置詞に zu 不定形 (英語で言う to 不定詞 )が使えるのは,他に um zu 「~するために」や ohne zu 「~しないで」などがあります。

解答は ②,③ です。

問4

 知らないと sich で戸惑うかもしれません。lesen は「読む」という他動詞ですが,sich lesen で主語を本にすると,その本が「読まれる」際の性質を表現することができます。ここでは,Dise buch liest sich viel leichter, で「この本ははるかに読みやすい」となります。このような用法は kaufen(買う)にもあって,Diese Ware kauft sich viel.で「この商品はたくさん売れる」のような言い方ができます。

後半は「君が思っているよりも」なので比較です。そのために leicht が leichter になっているのでした。比較の接続詞 als でつないで, als du glaubst. となります。

解答は ⑥,⑤ です。

問5

道案内の文章ですが,位置関係を正確に表現できるかが問われています。特に,右に「曲がる」という自分が進む方向と,右に「ある」というもののある方向の表現の区別がポイントです。正確には「右『へ』曲がる」と「右『に』ある」と分けて書いてほしい気がします。

gehen Sie an der zweiten Kreuzung 「2つ目の交差点を」から始まります。第 2 問にもあったように,交差「点」は an を使うんですね。そこを「右に曲がる」のですが,方向を表す前置詞として nach を用います。nach Deutschland gehen「ドイツへ行く」の nach です。さらに「右へ」という方向を表す副詞が, rechts です。これは morgens「朝に」や vormittags「午前中に」などの時間を表す副詞と同じ s と思ってもらえればいいです。nach rechts で「右の方へ(曲がる)」です。紛らわしさを増すために in も混じっていますが,これは「ゲーテ通りに(入る)」in die Goethestraße で使うことになります。突入する方向を表す in です。冠詞も 4 格の die になっています。

では後半の「右側に薬局がある」です。これも第 2 問で触れた auf der Straße のように,通りの右面に接した建物というイメージで auf を使います。このあと der rechten と続くのですが,この rechten は形容詞です。auf der rechten Seite「右側に」と,後ろに Seite という名詞が来ることからも判断できると思います。

 

語順に関して言えば,英語より規則がはっきりとしていて,かつそれ以外の部分は比較的自由なので,文法や熟語をしっかり理解していればそれほど悩む問題は少ないと思います。