2018年センター試験 ドイツ語 を解いてみたその1【第1問】

数学のほうは IA が済んだのでひと休みして,今回からはドイツ語を解いていきたいと思います。私はドイツ語を学び始めて 2 年ちょっとですが,センターレベルの問題や文章はそれほど苦労せずにこなせるようになりました。

とはいえ不勉強な部分もあり,解説といいながら私見で解釈している箇所も少なくないですので,ご意見や反駁があればお知らせくださるとありがたいです。

 

問題は下記を参照ください。

大学入試センター試験(2018年度) 問題・解答速報 - 毎日新聞

 

第1問

問1

  st の発音が違うものを選ぶ問題です。st の s は語頭では後部歯茎摩擦音(英語の sh; シュ; [ʃ] ),それ以外では歯茎摩擦音(英語の s; ス; [s])で発音されます。選択肢の語はどれも st が語中にあるように見えます。ここで注意が必要なのが,複数の語を合わせて 1 つの単語になっている場合です。② の Frühstück(朝食) は,früh(早い)と Stück(断片)が合わさってできた語です。英語の breakfast は,fast(断食)を break(破る)が語源だと聞いたことがありますが,früh は「早い」の fast (early というよりは手短に済ます,という意味合いに近いのでしょうか) で, Stück はパンなどのかけらを意味するそうです。ドイツの朝は早いですが,朝食は軽く済ますみたいですね。とにかく ② のみ st を [ʃt] と発音します。

問2

  母音の長短です。選択肢はどれも基本的な語なので知っているかどうかというところもありますが,ネイティブの方が迷ったという話も聞きました。原則として,母音のあとの子音が 1 文字の場合は長母音になり, 2 文字以上の場合は短母音になるというルールがあります。そうすると,④ の Mund は u のあとに子音が nd と 2 文字続くので,u は短母音 [u] で発音されることになります。その他はすべて長母音 [u:] で発音されます。

  このルールは,Hund [短] と Hut [長] などいろいろ応用できますが, mit [短]  や Mond [長] など例外も多いです。

問3

  アクセント位置の問題です。ドイツ語は原則第 1 音節にアクセントが来るので,出題される語はほとんど外来語です。あと英語と同じく,語尾つづりでアクセントが決まるものも多いです。

① の Seminar(ゼミ) は最後の音節 ar にアクセントです。 ② の Professor(教授) は 後ろから 2 番目の ess の部分です。s が二重になっているのも目印です。ちなみに,Student(大学生) は英語と違って最後の ent にアクセントです。これとの引っかけを狙ったのか,③ Studium(大学での勉強) は 最初の stud にアクセントが付きます。Unterricht(授業) はややこしいです。まず動詞の unterrichten が分離しないので,アクセントは後ろの richten のほうにあるのですが,名詞では最初の unter のほうにアクセントがきます。よって ③ が正答です。④ の Lektion(課) は -tion の on にアクセントが来るのは有名です。また,Prüfung(試験) は prüfen 「試験を課す」の名詞形で,接尾辞 -ung にアクセントは付きません。

問4

  動詞の 3 人称単数変化で母音が変わらないものを選ぶ問題です。アクセントのある a が ä になったり,e が i や ie になったりする動詞がけっこうあります。選択肢は,いずれもアクセントのある母音が e のものです。実際に活用させてみましょう。

①werfen(投げる)→ er wirft 

②reden(述べる)→ er redet 

③lesen(読む)→ er liest 

④treten(歩む)→ er tritt

よって母音が変わらないのは ② となります。d のあとに活用語尾の t が付くので,-en の e を残したまま t が付く形になりますが,アクセントのある最初の e は変わりません。

問5

  今度は過去形の変化です。これも覚えておくのが一番ですね。ただし,規則変化(母音が変わらない)する動詞はもともと名詞などから派生したものが多いです。答えは ④ の liegen (置いてある,横になる)で,liegen-lag-gelegen と変化します。英語の lie-lay-lain も不規則変化なので,類推はしやすいです。ちなみに,他動詞 legen「置く」は legen-legte-gelegt と規則変化をします。英語の lay-laid-laid とはちょっと違います。

問6

  国名を人にしたときに,語尾が -er でないものを選びます。

①Italien → Italiener(イタリア人)

②Österreich → Östrreicher(オーストリア人)

③Frankreich → Französe (フランス人) 

④Schweiz → Schweizer(スイス人)

で,③ が正解です。同じ -reich なのに変化が違うので紛らわしいですね。なお,ドイツ人も Deutschland → Deutsche です。そのくせ England → Engländer なので,法則を探るよりは覚えたほうがよさそうです。

問7

  英語でも最近おなじみの最も強く発音する「語」の問題です。疑問文で Mit wem ~(誰と~)と聞いているので,答えの核になるのは「人(の名前)」です。よって ②Stefan を選びます。ドイツ語の本を書いているとある先生もおっしゃっていましたが,「1 語で答えるなら」という観点で選ぶとよいです。

 

ドイツ語も,1 問ずつ語っていたら結構な量になってしまいますね!また 1 週間かけてやりきる感じになりそうですが,少しずつ進めたいと思います。