2018年センター試験 数学I・A を解いてみたその8【第4問】
問題は下記を参照してください。
大学入試センター試験(2018年度) 問題・解答速報 - 毎日新聞
第 4 問「整数」です。これまでどのジャンルにも属していなかった感じの内容が,今回の指導要領で 1 つの独立した単元となった格好です。大学入試問題を見ると,整数はかなり幅広い題材が扱われている感じを受けますが,センター試験としては出題内容はある程度限られているようです。
※今までもそうでしたが,特に今回の整数では TeX の式と,直接打ち込んだ式とを混用します。読みづらい箇所があると思いますが,ご了承ください。
(1) 144の 素因数分解。超基本です。どのように分解してもよいですが, がわかっていれば, とやるのがベターでしょうか。
素因数分解ができたら,そこから正の約数の個数がわかります。これもほぼ知識があるかどうかだと思いますが,正の約数は各素因数の指数の組合せで表されるので,素因数 2 の指数が 0~4 の 5 通り,素因数 3 の指数が 0~2 の 3 通りで,正の約数は 3×5=15個となります。
(2)1 次不定方程式です。これも解法をおさえていれば,そのまま解けばよいです。まず解の組を 1 つ見つけるわけですが,はじめの設問はその手助けです。かえって惑わされる人もいそうですが。センターならではの見方をすれば,x が 1 桁なので,自然数を 1 から順に試していけばよさそうです。むしろ出題者側がこの特性を利用して,難易度が下がるように仕組んだ感じもします。
解はすぐに見つかって,x=2,y=41 です。y の係数が 7 なので一見見つけにくそうですが,144 の上 2 桁が 7 の倍数なので,一の位だけ見ればよいのです。4 の倍数で,7 で割って 1 余るのは 4×2=8 のときです。
これをもとに一般解を求めていきましょう。最終形を知っていれば一気に答えを出せますが,解法を順番に見ていきます。
方針の確認です。右辺を 0 にすれば,x, y が何の倍数であるかがわかります。もとの方程式から,いま見つけた解を代入した式を引きます。
…①
…②
①-②より
移項して
144 と 7 は互いに素であるから(これ重要),x-2 は 7 の倍数,y-41 は 144 の倍数となります。これを式で表して(k は整数)
最後に定数を移項すれば
となり,すべての整数解が表せます。
(3)「144 の倍数で,7 で割ったら 1 となる自然数」というのは,前問の不定方程式 の解から, ( は整数)であることを読み取ります。そのうち,正の約数の個数が 18 個であるものを探します。(1) と同様に,素因数分解した形で各素因数の指数に着目します。144 にかける自然数を とおくと,
であり,正の約数の個数が 18個 となるには, でなければなりません。このとき, であり,指数から正の約数の個数は となります。
次に正の約数が 30 個 の場合を求めます。私も少し試行錯誤しました。指数の方から攻めると,たとえば で約数は 個になりますが, で,7 で割った余りは 1 になりません。 や もダメです。
となると,素因数 2,3 の指数を増やして 30 をつくっても,7 で割って余り 1 になる数にならないことになります。ということは,m は 2,3 以外の素因数からなっていて,しかも 144 の時点で約数は 15 個あるので,指数は 1 ,すなわち「x は 2,3 以外の素数である」ということが導けます。
これと (2) で求めた不定方程式の解 と照らし合わせて, のとき という素数が見つかります。確かに, となります。
のほうから攻めていれば,素数うんぬんに言及しなくても 2, 9, 16, 23 と順番に試していっても答えにたどり着けたのですね……
数学 A ,特に整数の分野はそうですが,「いろいろ試してみる」のも手法の 1 つです。ただし時間が限られている中で問題を解くには,試行錯誤のまま留まらずに,効率のよい求め方を導いたり,規則性を見抜いて一般化したりなどできるステップまで高めておく必要があるな,と感じました。
マークは
ア:4,イ:3,ウ:2,エオ:15,カ:2,キク:41,ケ:2,コサシ:144,ス:2,セソ:23
となります。