2018年センター試験 数学II・B を解いてみたその2【第1問〔2〕】
関数後半です。今回は指数と対数の合わせ技で来ました。
問題は下記から参照してください。
大学入試センター試験(2018年度) 問題・解答速報 - 毎日新聞
第 1 問 〔2〕
主役の不等式は,c を正の定数として
…②
という式です。
「3 を底とする対数をとり, とおく」という誘導通りに処理していきましょう。
まず左辺の の対数をとると
です。真数の指数は log の前に出せるので,
となり, とおくと となります。シンプルですが混乱しやすいので丁寧に計算しましょう。
続いて右辺の の対数をとると
です。対数の基本計算が扱われています。
左辺にまとめて整理した式が,
…③
です。
次に, を代入して,この不等式を解いてみようという問題です。
となるので,③ 式は
となります(センターでは不等式の未知数は常に左辺に書くのか!)。t を x に直して
となりますが,真数条件から なので,
が不等式の解の範囲になります。
次は処理技能というよりも,数学的な見方が問われる問題です。「② が の範囲でつねに成り立つように」とういうことですが,例えばさきに求めた の場合ではつねに成り立たないわけです。今度は解の x の方を条件として定数 c の値の範囲を求めていきます。
まず不等式を解いたときと同様に,x を t に置き換えて考えていきます。「 のとき t のとり得る値の範囲」を問われていますが,基本的な事柄もこのように大きな問題の中に埋め込まれると意味が見えない人が多いようです。
要は,「 の値域を求めよ」と言っているのと同じです。 は真数条件から言わずもがなの定義域ですね。グラフがイメージできればなおよいです。
というわけで,t の取り得る値の範囲は「実数全体」となります。結局 t の範囲に制限がないということなので,しっかり問題の意味を理解していないと心理的に選びにくかったのではないかと思います。
ではラストスパートです。「この範囲の t に対して,③ がつねに成り立つための必要十分条件」を求めることになります。これも問題の意味を理解して,読み替えることがポイントです。
「この範囲の t に対して,③ がつねに成り立つための必要十分条件」
⇔「すべての実数 t に対して,不等式がつねに成り立つための c の値の範囲」
⇔「不等式の解が『すべての実数』となるような c の値の範囲」
不等式の「解の値」ではなく,「解の種類」が条件となっているので,さらに読み替えると
⇔「不等式の左辺を 2 次関数の式とみて,このグラフ全体が x 軸(を含めて)の上にある」
⇔「不等式の判別式 D について となるような c の値の範囲」
を求めればよいことになります。内容としては数 I ですね。不等式はイコール付きの不等号なので,D=0(グラフが x 軸に接している)の場合も条件に含まれます。
ここまで帰着できれば,後は計算です。
の判別式を D とおくと
が求める条件です。
本番では時間に追われながら解くので,誘導に従って最後までたどり着くのが精一杯です。ただ,後から見返して「結局これは何を求めたのだろう」となるような問題です(実際は自己採点でマークだけを確認して一喜一憂して終わる受験生が多いかも)。メインは(数 I も含めた)関数の領域の問題ですが,x の範囲から定数の条件を導くのは,いわゆる「逆手流」と呼ばれる「軌跡」の内容でもあります。
※ちなみに,「逆手流」という言い方は東京書籍の受験雑誌『大学への数学』のジャーゴンですね。もっと一般的には「逆像法」という言い方をするそうです。ところで,逆手流という言葉,字面はよく使うのですが,何て読むんでしょう? さかてりゅう,でよいのでしょうか。誰か教えてください。