2012年8月 2回目の九州へ行ってきた 7日目

※この記事は 2012年8月の旅行をまとめたものです。記事中の情報や画像に関する内容は当時のものであり,現在とは異なる場合がありますのでご了承ください。

  

2012年8月9日(木) 7日目/8日 

 

7日目,熊本からスタートです。実を言うと,当初の計画では,大分方面まで出向いて,日田彦山線久大本線豊肥本線なども乗りつぶすつもりでした。しかし,大雨により不通区間が多く,断念せざるを得ませんでした。今回乗った南阿蘇鉄道も,現在では熊本地震により運休している区間があります。無事に列車に乗れるというだけでもありがたいことです。 被災された地域の早い復興を祈ります。

みなみあそみずのうまれるさとはくすいこうげん を越えて

まずは南阿蘇鉄道に乗ります。前回乗車した時は,乗りつぶしの目的がなかったので,日本で一番名前が長い駅「南阿蘇水の生まれる里白水高原」で降り,散策した後引き返しました。今回は南阿蘇鉄道を完乗するために,再び乗りなおします。

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終点の高森駅は,少し靄がかかっていましたが,朝の高原という感じの風景でした。起点の立野駅は,日本でも数少ないスイッチバックの駅なのですが,どういうわけか写真が1枚もありません。何していたんだろう。

熊本に戻り,熊電の残っていた区間に乗ります。

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  これで熊本近郊の路線は乗りつぶしが終わりました。次の目的地は長崎です。といっても,陸路で行くと大回りになるので,海を渡っていきます。生粋の乗り鉄の方には申し訳ないですが,鉄道以外の交通手段というのもよい気分転換になるのです。

島原平穏 肥後安泰

熊本駅から港まではバスで行きます。熊本市は海に面していますが,海沿いは平地が少なく,市街ほど栄えていません。

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熊本港から対岸の島原まで,800円で渡ることができます。その割に船内はスナックコーナーなど設備がしっかりしていて,30分弱で渡り終えてしまうのが惜しいくらいでした。

島原からは,雲仙普賢岳が見えます。見えるはずなのですが,この日は雲で隠れていました。

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天気はよくなかったですが,道沿いの植物が南国を感じさせます。豪雨や地震もそうですが,この地も以前火山の噴火で甚大な被害を被った場所です。自然の恩恵と災害は切っても切れない関係です。

港近くから,ちょうど鉄道が出ています。これで諫早方面へ向かいます。この路線も以前,諫早側から少し乗ったことがあるのですが,今回は終点側から丸ごと乗りつぶすことができます。鉄道だけだとこの路線のためだけに行って戻るような形になりますが,船を使うと無駄のないルートを取れます。

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諫早からはJRに乗り換えて,長崎へ向かいます。長崎へは途中から路線が二手に分かれています。もちろんどちらも乗る予定ですが,今日は旧線(長与経由)のルートで行きます。

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67年前への祈り

長崎市内では,JR線に並走するように路面電車が走っているので,終点の長崎まで行かずに乗り換えます(残りは明日の復路で乗りつぶし)。

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計画の段階から奇しくも,と思っていたのですが,8月9日はちょうど長崎に原子爆弾が落とされた日です。ニュースでも毎年式典の様子が報道されますが,その場所に立ち寄りました。

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到着が午後だったので式典は終わっていましたが,献花台が残っており,慰問に来られた方もまだ何人か見えました。

自分の意識からくるのか,はたまた場所特有の空気なのか,日常で感じるものとは違う独特な静けさを感じながら,公園を散策します。

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公園に隣接して資料館もあり,広島と同じく当時の様子や遺留品やを見ることができます。どうしても展示物ばかりに興味がいきがちですが,被爆者や来館者のメッセージに目を向けるのも,今を生きる世代としての任務かな,とも思います。

ちょうど大事な日に現地で学ぶことができて,貴重な時間となりました。

 

長崎は今日は晴れだった

日も傾いてきたので,路面電車を走破しながら長崎市内を探訪します。電車に乗っているとそれほど感じないのですが,坂の町といわれるだけあって,大通りから横道へ少し踏み込むと,上り坂があちこちで見られます。写真では分かりづらいかもしれません。

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最近聞かなくなりましたが,長崎って眼鏡橋でも有名でしたよね?ただ橋があるといえばそれまでなのですが,石造りアーチの風格からは歴史を感じます。

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路面電車なので,当然道路の真ん中を走るわけですが,停留所を降りるとある種の怖さを感じます。街の人はそれが当たり前だと思うのですが,普通に真横を車が走っているわけです。

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市内電車の駅としては一番南の石橋に着くころには,もう日が暮れかけていました。時間を見ると,もう7時を回っているんですね。8月とはいえ,かなり西まで来たことを実感させられます。

石橋駅のある通りから横道へ入ると,オランダ坂という名前の付いた通りがありました。これまた石畳の風情ある道です。その近くには日栄湯という銭湯があります。計画の段階で調べていこうと思っていた場所です。歴史ある街で昔ながらの銭湯で汗を流す,いい贅沢じゃないですか。

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銭湯の番台にはずいぶん高齢のおばあさんがいて,客もお年寄りばかりでした。地域のたまり場,という感じです。横浜から来たといったらみんな驚いていました。

入浴後は日もどっぷり暮れていて,夜の長崎の街へ繰り出します。日本三大夜景に数えられるほどだそうですが,今回は山から見下ろさずに,夜景の中に紛れて夜を過ごします。

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ここでもうひとつ計画していたことを実行します。長崎駅に隣接して映画館が入っている施設があって,当時公開間もなかった『おおかみこどもの雨と雪』を観ようと思っていたのです。映画はあまり見ない(前回みたのがそれこそ『サマーウォーズ』)ので,旅先で観るといっそう特別な気分になれます。

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感想は割愛しますが,原爆といい映画といい,情操を刺激される半日となりました。

映画館を出た後は,かの出島の方面にあるネットカフェへ向かって歩いていったつもりなのですが,方角を間違えたらしく,市役所方面へ向かっていました。気づいた時にはだいぶ進んでいたので,そのまま夜の街を歩くことに。

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終電ももう終わっていて,車通りも少なくなっていましたが,歩いてみると新たな発見があるものです。東京までの郵便線路開通起点の碑を見つけました。線路といっても鉄道ではなく,飛脚に代わって輸送を行う,今でいう郵便局の配達ルートが確立された場所なのですね。

他にも長崎奉行所の跡とか,思いがけず歴史的な場所に立ち寄ることができました。ぐるっと街を一周して,目的地のネットカフェ到着です。

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思えば移動しっぱなしだった1週間でした(学会で小倉に滞在した日もありますが)。乗り鉄のサガといえばそうなのですが,こうしてひとつの町でゆっくりするのもいいものです。長崎が地勢的にどん詰まりのところにあるのも,先を急ごうと思わない大きな理由でしょう。

個人的に気に入っている町というのがいくつかあって,広島と小樽がツートップなのですが,今回長崎も上位に入りました。地形とか,街並みとか,路面電車が走っているとか,いろいろ心をくすぐる要因はあるのですが,ゆっくりくつろげた,というのが大きなポイントなのかな。

明日は最終日です。乗り残しの区間を回収しながら福岡へ戻ります。今日と比べるとまたせわしない日に戻りそうです。

 

【記録】

<乗車行程>(鉄道は九州満喫きっぷ使用)

肥後大津709---(豊肥本線)---723立野726---(南阿蘇鉄道)---758高森804---(南阿蘇鉄道)---831立野837---(豊肥本線)---850肥後大津855---(豊肥本線)---932熊本935(鹿児島本線・玉名行)939---上熊本950---(熊本電鉄線)---959北熊本1001---(熊本電鉄線)---1021御代志1041---(熊本電鉄線)---1101藤崎宮前1110---(産業交通バス子7系統)---1127熊本1208---(産業交通バス西7系統)---1237熊本港1300---(熊本フェリー 800円)---1330島原外港1356---(島原鉄道線)---1510諫早1514---(長崎本線旧線)---1600浦上/浦上駅前---(長崎電鉄:以下同じ)---赤迫---長崎駅前---蛍茶屋---賑橋---正覚寺下---石橋---築町---長崎駅

 

<新規乗車区間

JR長崎本線 諫早~喜々津 6.5 キロ

JR長崎本線(旧線) 喜々津~浦上 23.5 キロ

JR線計 30.0 キロ

 

南阿蘇鉄道高森線 南阿蘇水の生まれる里白水高原~高森 8.6 キロ〔完乗〕

熊本電気鉄道菊池線 北熊本御代志 7.4 キロ〔完乗〕

島原鉄道線 島原外港~愛野 30.8 キロ 〔完乗〕

長崎電気軌道本線 浦上駅前~住吉 3.1 キロ

長崎電気軌道赤迫支線 住吉~赤迫 0.3 キロ〔完乗〕

長崎電気軌道本線 浦上駅前~長崎駅前 1.7 キロ

長崎電気軌道桜町支線 長崎駅前~公会堂前 0.9 キロ〔完乗〕

長崎電気軌道蛍茶屋支線 公会堂前~蛍茶屋 1.4 キロ

長崎電気軌道蛍茶屋支線 公会堂前~西浜町 0.8 キロ〔完乗〕

長崎電気軌道本線 築町~正覚寺下 0.9 キロ

長崎電気軌道蛍大浦支線 築町~石橋 1.1 キロ〔完乗〕

長崎電気軌道本線 築町~長崎駅前 1.3 キロ〔完乗〕

私鉄線計 58.3 キロ