ドイツ語の不規則動詞を整理してみる vol.4【まとめ,その他】
ひと通り幹母音での分類ができたので,もう一度整理しておきます。同じ幹母音の中でも,語尾などでパターンが分類できるものもありました。
幹母音 ei
①ei-ie-ie
原則として(以下同様),-en, -ben, -gen, -hen, -nen, -sen のもの。
②ei-i-i
-chen, -fen, -ßen, -ten, のもの。
幹母音 ie
ie-o-o
幹母音 i
①i-a-o
-mmen, -nnen のもの。
②i-a-u
-nden, -nken, -ngen のもの。
幹母音 e
①e-a-o
幹母音 e が短母音のもの。
②e-a-e
-chten, -llen, -lzen, -schen のもの。または,幹母音 e が長母音で,現在形の母音変化が起こらないもの。
③e-o-o
-ssen のもの。または,幹母音 e が長母音で,現在形の母音変化が起こるもの。
幹母音 a
①a-ie-a
②a-i-a
③a-o-o
②a-u-a
次に,幹母音で分類しなかったものをまとめておきます。既に取り上げたものもあれば,初めて出てくるものもあります。ウムラウトしているものや,例が少なすぎるもの(幹母音 u )が該当します。
○-a-e
bitten「頼む」 bitten-bat-gebeten
liegen「置いてある,横になっている」 liegen-lag-gelegen
sitzen「座っている」 sitzen-saß-gesessen
ei-ie-ei
heißen「~という」 heißen-hieß-geheißen
○-o-o
lügen「嘘をつく」 lügen-log-gelogen
trügen「欺く」 trügen-trog-getrogen
verlöschen「消える」 verlöschen-verlosch-verloschen
o-ie-o
stoßen「突く」 stoßen-stieß-gestoßen
u-ie-u
最後に,少し特殊なものを挙げておきます。
混合型
規則変化のように過去形が -te,過去分詞が ge-t となるにもかかわらず,幹母音も a に変化するパターンです。
brennen「燃える」 brennen-brannte-gebrannt
bringen「持ってくる」 bringen-brachte-gebracht
denken「考える」 denken-dachte-gedacht
kennen「知っている」 kennen-kannte-gekannt
nennen「名づける」 nennen-nannte-genannt
rennen「走る」 rennen-rannte-gerannt
senden「送る」 senden-sandte-gesandt
幹母音が e または i で,語尾が -nnen のものが多いです。が,rinnen などは i-a-o のパターンであり,こういう形の動詞がすべて混合型というわけではありません。数は多くないし,よく使う動詞なのでそのまま覚えてしまうのがよいと思います。
過去分詞 -en 型
過去形は規則的に -te となりますが,過去分詞は ge-en となるパターンです。つまり,過去分詞の語尾が -t とならず,現在形にそのまま ge- がつくような形です。幹母音が変化するものも若干あります。
backen「焼く」 backen-backte(buk)-gebacken
mahlen「粉を挽く」 mahlen-mahlte-gemahlen
melken「乳を搾る」 melken-melkte(molk)-gemolken(gemelkt)
salzen「塩を加える」 salzen-salzte-gesalzen
schinden「酷使する」 schinden-schindete-geschunden
spalten「割る」 spalten-spaltete-gespalten
こうしてみると,食に関する動詞が目立ちます。昔から生活に根付いている動詞なのでしょうか。詳しくは分かりませんが,この例外的な変化は古ドイツ語の名残なのかもしれません。
ようやくすべての不規則動詞をまとめることができました。今回の分類や考察は完全に個人の私見ですので,もっとよい分類や異なった見解があれば教えてください。