2013年4月 東北を回ってきた 1日目 後半

※この記事は2013年4月の旅行をまとめたものです。記事中の情報や画像に関する内容は当時のものであり,現在とは異なる場合がありますのでご了承ください。

 

1日目の記録が長くなったので,2回に分けて書きます。本記事はその後半です。

2013年4月9日(火) 1日目/2日 後半

旅の心と春の空

鼠ヶ関を出てからは,秋田県由利本荘まで北上します。山形県の海岸線を縦断するわけですが,途中の酒田駅で乗り継ぎがあります。

ちょうどお昼時だったので,駅弁を買いました。「ががちゃおこわ」という,枝豆が炊きこまれている酒田名物のおこわです。

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昼下がりになり,羽後本荘に到着です。「ほんじょう」と言うと首都圏の人は埼玉県の本庄市が思い浮かぶでしょうか。その重複もあって,こちらの秋田は平成の大合併の際に本荘市から由利本荘市に改称しています。合併した地域が由利郡だったので,地域名と中心都市名を併せたネーミングです。駅名は旧国名を取って羽後本荘駅です。

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羽後本荘からは,由利高原鉄道が出ているので,そちらに乗り換えます。乗り換えまで時間があったので,駅前を散策しました。閑散としていましたが,楽器店があちこちに見られました。

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由利高原鉄道の路線は,鳥海山ろく線という名前が付いています。鳥海山のふもとの矢島町までを結んでいる路線です。切符が硬券だったり,車両に宇宙戦艦ヤマトのデザインが施されていたりと,地方私鉄ならではの味わいがあります。

 

まつ子おばちゃんの待つこの町へ

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この矢島駅,これまで訪れた数多くの駅の中でも,特に忘れられない思い出のある場所です。

 

「おひとり様?」「さぁさ座って,寒かったでしょう」

 

列車を降りるやいなや,年配の品のよい女性が声をかけてきました。一人旅をしていると,誰とも話さない時間がほとんどで,ましてや乗り鉄のような,来てもすぐに去ってしまう人間をわざわざ気にかけるような場所はないだろうと思っていました。それなのに,

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春の訪れをほのかに感じる,さくら茶でもてなしてくれました。体の中から温かくなってきたのは,ストーブの火のせいだけではないでしょう。この女性,まつ子さんという方で,矢島駅の売店を営んでいらっしゃいます。たった20分の滞在なのに,ゆっくりほっこりと列車を待つことができました。

申し訳ないことに,私は何もお金を落としていかなかったのですが,まつ子さんから折り紙で作った手作りの人形をいただきました。紙風船もその場で膨らましてくれました。

まつ子さん,こんな人懐っこさもさることながら,とてもパワフルな方です。帰りの時間になり列車に乗り込むと,地元の中学生たちが列車に乗ってきました。ちょうど下校時刻と重なったようです。列車が動き出した瞬間,窓の外にいたまつ子さんが大きな旗を振って応援を始めたではありませんか。体育祭の応援団長さながらのたくましさです。今月から列車通学を始めた新入生もいるのでしょう。新しい門出を送り出す応援に,自分も元気を分けてもらったのでした。

まつ子さんに元気をもらっているのは自分だけではないようで,度々記事にも取り上げられています。ご本人にもいろいろな思いがあって,このようなとびきりのおもてなしをされているようです。

由利高原鉄道:秋田の売店「まつ子の部屋」 恋愛相談も - 毎日新聞

 

旅先でも,人とのかかわりが一番思い出に残ったりします。なんだかんだいってずっと一人で行動していると,人恋しさをどこかで感じているのでしょう。それを知ってか知らずか,まつ子さんのもてなしには本当に感激しました。また会いに行って話をしたいです。

 
乗り鉄はいねぇが

矢島に居残りたい気持ちもなくはなかったのですが,目的地があっての旅だからこそ,こういう出会いもあるのでしょう。この先にも何か思いがけないことがあるかもしれないので,予定通り進んでいきます。もちろん,予定変更!今日はここで泊まる!みたいな旅も面白いと思います。

秋田駅に着いたころにはもう日が暮れていました。最終的な目的地はここなのですが,秋田駅を拠点にしてもう少し足をのばします。

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まずは奥羽線に乗って,大曲まで来ました。花火で有名なところですね。以前北海道に行く途中で通った所ですが,ちょうど花火大会の日で電車が混雑していました。

ここから,田沢湖線に乗り換えます。終点の盛岡まで行ってしまうと戻ってこれないので,角館で引き返します。

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4月といえど東北の夜はだいぶ冷え込みます。折り返しの列車待ちの間は駅の待合室にいたのですが,ざぶとんが並べてありました。ここでも温かなおもてなしを感じられました。

今回,角館は田沢湖線のちょこっと乗りつぶしのために寄らせてもらった程度ですが,武家屋敷の街並みは一度散策してみたいスポットです。桜の名所でもあるので,もう少し遅い時期の5月上旬くらいを狙っています。それも意図して田沢湖線の東側は未乗です。この旅から5年ほど経ちましたが,なかなか実行のめどは立ちません。

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秋田に戻ってきた後は,北上して男鹿半島へ向かいました。男鹿線はけっこう遅い時間まで運行しているのですね。男鹿行き最終列車で行って,秋田行き最終列車で戻ってきます。

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三たび秋田へ戻ってきたころには,もう日付が変わろうとしていました。元気をもらったおかげで,それほど眠気は感じませんでした。長い移動のときはよく居眠りをするのですが,同じ姿勢でいるので(特にロングシートだと)身体は疲れてくるんですね。それでも今日は気持ちにつられたのか,夜になってもしんどくなかったです。

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コンコースではなまはげがお出迎えしてくれます。他にもデゴイチの模型など,年季の入った鉄道の展示がいろいろとありました。

駅ビルにあるネットカフェで宿泊です。明日は岩手に出て,平泉を散策します。

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【記録】(JR線は18きっぷ利用)

<行程>

2330新宿---(夜行バス)---550新潟608---(白新線)---646新発田649---(羽越本線・酒田行)---817鼠ヶ関(周辺散策)1012---(羽越本線)---1140酒田1240---(羽越本線・秋田行)---1352羽後本荘1450---(由利高原鉄道 580円)---1529矢島1550---(由利高原鉄道 580円)---1631羽後本荘1639---(羽越本線)---1725秋田1734---(奥羽本線・新庄行)---1824大曲1842---(田沢湖線田沢湖行)---1914角館1929---(田沢湖線)---1952大曲2012---(奥羽本線)---2101秋田2139---(男鹿線)---2238男鹿2246---(男鹿線)---2342秋田

 

<新規乗車区間

JR羽越本線 新発田~酒田 128.7 キロ〔完乗〕

JR田沢湖線 大曲~角館 16.8 キロ

JR男鹿線 追分~男鹿 26.6 キロ〔完乗〕

JR線合計 172.1 キロ

 

由利高原鉄道鳥海山ろく線 羽後本荘~矢島 23.0 キロ〔完乗〕

私鉄線合計 23.0 キロ